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SWB卒業生 出口杏紗インタビュー(後編)


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◆試練の1年間
アペレンタス(プロになる前の研修生)として運良くOBT(オレゴン・バレエ・シアター)に所属できたはいいものの、最初の年は試練の1年でした。13人いたアペレンタスは皆、次のシーズンの契約をもらう為に必死なのです。正式にカンパニーダンサーに選ばれるのは2、3人という狭き門。これに残れなければ、もうプロとしてバレエを続けていくことは難しいと思い、毎日練習に明け暮れました。
朝10時から夜8時までずっと練習をし、夜は明日に備えて寝ないといけない、という生活でした。高校の授業では英語が一番苦手だったので、言葉にも苦労しましたし、生活環境や食生活の変化に慣れるのも大変でした。
◆体格差の不利をカバーするために
日本人は体格やスタイルなどの条件ではどうしても欧米人に劣ってしまいます。その中で生き残るには自分の個性をどんどん主張すること。私はいつもにこやかな演技を心掛けています。また、カンパニーの中では最も身体が小さいので、それをカバーする「ダイナミックな演技」を意識しています。ステップはより遠くに、ジャンプはより高く跳ぶように心掛けています。
慣れない環境の中で1年間努力し、何とかカンパニーダンサーに選ばれ、2年前にはソリストに昇格することができました。「日本人だから」ということで差別されることはなく、どれだけ努力したか、というところを評価されます。つまり、チャンスは誰にでもあるのです。
日本にいる時から「個性的」と言われてきましたが、5年間のアメリカでの生活で、年々自分の個性が濃くなっていくのを感じます。より自分の意志を主張するようになりました。アメリカでは言いたいことは我慢せず言うことで、自分に回ってくるチャンスも増えてくるのです。
◆「これだけは人に負けない!」というものを
イメージ 先日行われた第21回ステップ・ワークスバレエ発表会でもソロのステージを披露した
次の目標はソリストの更に上のプリンシパルになることですね。今は100%バレエに集中する時。まだまだ自分はダンサーとして伸びる段階にいます。表現力を磨いて、演技に深みを増していきたいと思っています。ダンサーとしてのピークを過ぎ、35歳くらいになったら自分のお店を持つなど、何か違うことがしたいですね。
バレエに限らず、何かに一生懸命打ち込むことは必ず後から自分のためになります。たまたま私はバレエを選びましたが、それが他のことであってもいいと思います。頑張れば結果は付いてくるし、運も付いてくる。子供たちには「これだけは人に負けない、これだけは譲らないぞ」というものを見つけて、努力してほしいですね。
 

出口杏紗プロフィール

3歳からステップ・ワークスバレエにてバレエを始める。高校1年で神戸舞踊コンクールで2位受賞。高校2年でスイスのローザンヌ国際バレエコンクールに出場。高校卒業後、渡米し、オレゴン・バレエ・シアターに所属。現在はソリストとして活躍中。

 

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